パラリーガルの日々に役立つまとめブログ Ocean!

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意外と分からなくなる、地番から住所を調べる方法。

ボス「ちょっとお願い。この建物(登記情報の印刷物渡される)たぶん持ち家だから、建物の住所で所有者の住民票とってくれない?」
私「承知しました。」

住所(住居表示)から地番を調べるのはよくあるけど、上記のような逆パターンもたまに頼まれますよね。
久々だとやり方忘れてたり笑
そういう時はどうしたらよいでしょうか?

建物の登記情報の「所在」は地番で書かれているため、住所とは異なることが多いです。
住民票を取得するにはまず、住所を割り出さなければなりません。

ちなみに甲区の「権利者その他の事項欄」に所有者の住所が記載されていますが、これは購入等した時の権利者の現住所を記載するものなので、購入した建物に引っ越し、その後住所変更登記を入れていないことも間々あります。
(もちろん、居住目的で購入したために権利者の住所を購入した建物の住所で登記しているケースもあります。その場合所有者欄の住所で住民票の請求をすれば良いので、楽ちんです。)

調べる方法:ブルーマップを確認する

1 登記情報提供システムを契約していれば、地番検索機能で調べてみる

検索画面には「住所」を入力するものなので、○市〇町○丁目までを入力し、後は地図上で青文字の数字を追いかけて地道に探していきます。
ただし残念ながら、山間部などサービス対象外の地域もそれなりにあるため、このサービスでは見つけられないことも。

2 弁護士会や町の図書館でさがす

図書館にはブルーマップが置いてあることが多いです。
ただし図書館のある行政区域のものだけ置いているなど、欲しい所在のブルーマップがあるとは限りません。探しに行く時間や手間も考えるとちょっと厳しいかも。
また、行く前には該当のブルーマップがあるか電話で問合せたほうが良いでしょう。

3 法務局に行き、ブルーマップの冊子を確認する

不動産登記の証明書発行窓口付近にはたいていブルーマップの冊子が置いてあるので、自分で調べることができます。
もちろん無料。ただし、不動産登記管轄のエリアのものしかありません。

わざわざ遠い法務局へ調べに行くのも大変だし、時間がもったいない。
別の記事(↓こちら)でも書いたとおり、管轄法務局の地番照会担当or証明書発行窓口に架電すれば、「住所から地番を調べる場合」は教えてくれますが、その逆は教えてもらえません。
www.marin-oceanblue.com

4 有料版サービスで検索する

事務所によっては有料版のブルーマップ検索サービスに加入しているかもれません。
であれば問題なし。サクッと調べて仕事を片付けましょう。
ブルーマップデータベース | 株式会社ゼンリン

ただ、費用対効果の観点から導入してない事務所も多いのではないでしょうか?


ないものねだりしても仕方ないので知恵をしぼります。
ではどうするか?

5 市区町村に問い合わせ! ※オススメ

【事前準備】ネットで新旧対照表などがアップされていないか検索しておきましょう。
ex. 「○○市 住居表示 新旧対照表」と入力して検索

ネット上に一覧表等がアップロードされていて、確認できるならラッキーです。政令指定都市など大きめの地方公共団体はホームページが充実していることが多いです。
残念ながらホームページにアップされていなさそうな場合は、直接電話して聞いちゃいましょう。

役所のホームページの記事は下までスクロールすると、「このページに関する問い合わせはこちら」と問合せ窓口が表示されていることがほとんどで、担当部署や連絡先の電話番号が記載されています。
その部署へ架けてもいいですし、何個も連絡先が書いてあったりして担当がわからなければ、役所代表番号へ架電し、交換(受付)の方に「住居表示について聞きたいのだが、都市計画関係の担当部署に回してください」とお願いしてもよいでしょう。
もし違う部署にかけてしまっても、「担当に回します」と言われて待たされるだけなので、気にすることはありません。

Tel…
役所「はい、○○係です。」
私「すみません、住居表示についてちょっとお尋ねしたいのですが、よろしいでしょうか?」
役所「住居表示ですね。どうぞ」
私「旧住所が○○市○○123番地について、住居表示は実施されていますか?
まずは住居表示が実施されている地域かどうかを聞くのがベターです。
そして重要なのは聞き方。

⭐︎ポイント⭐︎

こちらとしては地番から住所を調べたいわけなのですが、
「地番が○○○○ですが」と聞いてしまうと、
「こちらでは地番はわかりません。法務局の方に聞いてみてください」と言われてしまいます。

ですが先ほども書いたとおり、法務局では教えてくれないのです。しかしそれを市区町村の人に言ってもナンセンス。
市区町村の管轄はあくまで住所(住居表示)。要注意です。

パターン1
行政「いや、実施していませんね」
私「そうですか、ありがとうございました。」
住居表示を実施してなければ古い住所(地番と一致していることが多い)と住所は一緒です。万事解決!

パターン2
行政「実施していますね。平成○年頃です。」
私「そうですか、住居表示実施後の住所を教えていただけますか?
行政「○○市○○4丁目5番6号ですね」
私「ありがとうございました。助かりました。」

パターン3
行政「そもそもその旧住所はないですね」
私「えっ、そうなんですか…先ほどお伝えした旧住所に近い番地とかでもいいんですが。
せめてどのあたりか、だけでもわかるとありがたいんですが・・・何か調べる方法とかありませんか?」
行政「うーん、そういわれてもねぇ。○丁目あたりかなぁ、なんともいえないけど。うちではわからないですよ」
私「ありがとうございます。何とか探してみます、お手数おかけしました」

◆注意点◆

たいてい住居表示実施前の住所というのは地番と一致しているのですが、まれに一致しておらず、確認してもらってもヒットしないことがあります。
・市区町村の合併や複数回の住居表示の実施で旧住所が地番と異なっていた場合
住居表示実施時点では家が建っておらず(たとえば山林や畑であった等)、そもそも旧住所として伝えた地番について役所に登録がなかった場合など

これはホームページで新旧対象表を見つけ、該当しそうな地域の一覧データに調べてる地番(旧住所)が載っていないときにも同じことが言えます。



<用語の整理>
公図:一般的に「地図」と「地図に準ずる書面」を合わせて「公図」という。(厳密には地図に準ずる書面のほうが公図)

地図:不動産登記法第14条第1項に規定される図面(14条地図)。土地の面積や距離・形状・位置について、正確性が高く、境界を一定の誤差の範囲内で復元可能な図面

地図に準ずる書面:明治時代に租税徴収の目的で作成された図面。地図が備え付けられるまでの間、法務局に備え付けられた図面で、土地の面積や距離については正確性が低く、土地の配列や形状の概略を記載した図面。

地積測量図:地積に関する測量の結果を明らかにする図面で、隣地との境界を示すもの。法務省令で定めるところにより作成されるもので、分筆登記や表題登記、地積更正登記をする際には添付しなければならない。(地積測量図が法務局にない土地もある)

確定測量図(確定実測図):隣接地の所有者の了解のもと境界を決め、それに基づいて測量した測量図

現況測量図:境界について隣接地の所有者の了解を取らずに測量した図面

地番図:市区町村が固定資産税などの課税業務の際に参照するために作成したもので、土地の位置や形がわかりやすく示された「課税用地図」。
年に1度更新。市町村の税務関係課の窓口で請求できる。

余談ですが、2023年1月23日全国の登記所備付地図の電子データを法務省が無償で一般公開しました。
それを受けて、一般企業のものですが、新しいサービス↓ができたりしています。
labs.mapple.com

建設業者や不動産業者、都市開発などの分野では重宝しそうですね。
パラリーガルとしての使い道は今のところ思い浮かばないですが、自分の中の情報は常に更新しなければいけないなぁと感じる昨今です。
では、また。