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パラのお仕事基本編〜内容証明郵便の差出し

「データ送ったから、今日中に内容証明よろしくね。」

「かしこまりました〜。」

法律事務所では単発で受任するケースは少ないですが(たまにはあります)、お金を返してもらえなくて困っているという相談などの際、まずは請求をしましょうということで内容証明を差出すことは間々あります。

なお最初は普通郵便でお手紙を出すパターンもあります。内容証明は受け取った側も身構えてしまうので、ボスは慎重に判断している様子です。

内容証明郵便は郵便局で差し出す方法電子内容証明サービスを利用する方法があります。

ボスの好みもあるので、基本的にどちらの方法をとるか事前に確認しておくと良いと思います。

電子の方が少しお安いですが、支払いがクレカor料金後納(月ごと銀行引落)になります。そのため弊所はアナログ派です。 電子内容証明については下記の日本郵便HPを参考にしてください。 e内容証明(電子内容証明) - 日本郵便

→では早速準備に取りかかるとしましょう。やることは次のとおり。

  1. 原稿の形式チェック
  2. 差出文書作成
  3. 郵便局へGo!
  4. 保存、伝票作成

1 原稿の形式チェックをしましょう。

まずはボスから渡されたデータ(弊所は通常のwordファイル)を開いて、文字数や行数を確認します。 行数文字数、記号等の数え方は下記URL参照ください。

内容証明 ご利用の条件等 - 日本郵便

!!注意!!

※ページ番号を振ってしまうと行数にカウントされる

※金額やアルファベットが半角で、一部の行だけ文字数オーバーになっていないか

意外と見落としがちなのでお気をつけを...(やらかした経験あり)

その他、記入漏れや変換ミスがないか確認していきます。

ちなみに私のボスは差出日と相手方の郵便番号を空白にしていることが多いので、補充して了解を貰います。事務所を移っていると、郵便番号やTELだけ前の事務所になってるなんてこともあるので、油断せずに間違い探しをします。

★POINT★

内容証明郵便は後々の訴訟で証拠にする前提で作成している

ここが弁護士に依頼するメリットですよね。

内容証明は交渉や訴訟を有利に進めるための武器の一つです。 そのつもりで、パラとしては丁寧に確認するのが大切ですよね。

(余談ですが、もしも単純に自分の意図どおりの内容で、内容証明郵便を作成して欲しい場合は、行政書士にお願いしたほうが良いと思います。弁護士は常にその先の問題解決方法を考えているので、場合によっては別の最良と考えた方法を提案されることもあります。

ご自身で作成したり、誰かに依頼して作成した内容証明郵便を差出したとしても、必ず保管しておいてください。いつか役立つ日がくるかもしれません。)

2 差出文書を作成しましょう。

  • 原稿を3部印刷

もし宛先が複数の場合は、3部+宛先増えた通数を印刷します。 ※同一内容の文書を複数差出す場合は各々やるよりも金額が安くなるので、同時に差出しましょう。

  • それぞれホチキスで2箇所留め

  • 職印で全ページ割印

  • 弁護士名の横に押印

無くても差出には問題ありませんが、体裁上押したほうがいいかなと思います。

  • 封筒に宛名、差出人を記入

宛名と本文の記載は全く同じにする必要があります。例えば訴状等の癖で本文が「代表者 代表取締役」となっている場合、郵便局員から指摘を受けることがあるので要配慮です。また事務所名の記入漏れも注意が必要です。封筒には大抵事務所名が入っているのでうっかり気付かずに差出し依頼すると、封筒の訂正を求められます。

  • 「書留・特定郵便等差出票」を記入

内容証明郵便は必ず「配達証明」をつけて差し出します。最近は窓口にスキャンが導入されましたが、窓口によっては伝票記入をお願いするところも多いようです。またスキャンの場合はレシートに印刷されてしまうので、後々のことを考えると、事務所としても伝票にしておいた方が使い勝手が良いように感じます。(案外郵便局は窓口によって運用が異なることがあるんですよねー。この話は追々。)

一般的には1枚に3件記入できる用紙ですが、10件書ける用紙も用意されており、窓口でお願いすれば貰えます。カーボン紙なので裏移り注意です。

3 いざ、郵便局へお出かけです。

!!注意!!

郵便局の窓口はどこでもいいわけではない

内容証明事務は郵便法で定められている「郵便認証司」という国家資格の有資格者でなければ取扱いができないことになっています。したがって最寄りの郵便局で差出しできるとは限りません。事前に郵便局のホームページで確認しましょう。

店舗リストから該当郵便局を検索し、「郵便(ゆうゆう窓口)」タブを押して「取り扱い内容」の「内容証明」にマルがついていれば大丈夫です。(パラとしては周辺郵便局の営業終了時間と混んでいない時間帯を把握しておくのがベターです。ダッシュで郵便を出しに行くことはザラにあります。)

  • 職印を借りていきましょう!

ボスの指示を仰ぐまでもなく、明らかに訂正できそうな場合は職印で対応します。もちろん判断に迷うときはボスの指示を仰ぐのが賢明です。

窓口で差出す場合、実際かなり時間がかかります。郵便局員さんも2名体制でチェックするので、空いてる時でも原稿3・4枚で30分くらいは覚悟しておいた方がよいです。1時間くらいかかることもあるので、事務所に戻って一からやり直しはロスがキツいです。

★POINT★

内容証明の日付は「確定日付」になり、とても重要

ボスに今日中と言われたら、何としても「今日中」に出さなければならないんです。これだけは守りましょう。

【難しい話】 法学部の授業ではよく出てくる内容です。

例えば、債権譲渡の通知・承諾は、第三者への対抗要件として、「確定日付のある証書」によって行わなければなりません。 確定日付とは文書の年月日について法律上完全な証拠力をもつ日付のことです。郵便局印のほか、公正証書の日付、公証人役場でもらう確定日付印に効力が認められます。

実務上、譲渡人から第三債務者に対して配達証明付きの内容証明郵便で債権譲渡通知を発送することが多いようです。

債権が二重譲渡された場合、どちらが権利者になるかは、まず確定日付があるかどうか、そして双方確定日付ある証書であれば到達した日付の先後によって決まります。

→つまり、到達の日付によってはクライアントに損害を与えてしまう可能性があるんです。 とにかく指示を受けたその日に必ず差出すよう、しっかりタスク管理しないといけないですね。

4 後処理も忘れずに

事務所に戻ったら伝票等を作成し、控えをファイリングすると思います。 このとき、差出日と証明の番号を控えておきましょう。

内容証明が届いたら郵便局から配達証明のハガキが届きますが、なかなか来ないときに追跡したりします。また「到着後2週間以内に連絡をください」といった内容の通知だった場合、ボスの今後の仕事の進め方に直結しますので日程把握は必要かと思います。

◇重要◇

配達証明のハガキは必ずファイリングを!

到達日の証明になるものです。裁判の際、書証(証拠)として内容証明を出す場合は必ず配達証明のハガキもつけます。うっかり他の書類に紛れたりしないよう注意が必要です。

ーーー

郵便は基本業務ですが、案外時間を取られますよね。

簡単だからこそほかの業務と並行して処理したりしますが、内容証明は日付が大切な、重要なお仕事。丁寧に、でも効率よく。なるべく時間をかけずに片付けたいものですね。

では、また。