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ちょっと特殊な、家庭裁判所の記録を謄写する方法。

ボス「海さん、途中から受けた遺産分割調停の案件、いままでの期日調書見たいので早めにコピーしてきてください。」
海「はい、かしこまりました。(あれ、家事事件だと、裁判官の許可必要じゃなかったっけ?)」

記録の謄写はパラリーガルの基本的なお仕事ですね。セルフコピーの技術向上(スピード、綺麗さ、濃度、倍率設定、機械のクセの理解)は大切です! が、たまにやるお仕事って、とっさにどうするのか思い出せないことってありますよね。(え、ないですか?笑)
家庭裁判所の事件記録の閲覧・謄写はちょっと特殊なので、ここで整理しておきたいと思います。
※東京家裁の場合

基礎知識は大事

家事事件の記録の閲覧・謄写は、当事者(代理人弁護士)であっても必ず見ることができるわけではありません。これはプライベートの情報が多く含まれているからですね。
ちなみに家事事件については非開示の希望に関する届出制度もありますので、申立ての際は事件の状況や依頼者の要望をよくよく確認する必要があります。ただしこの届出をしても、裁判官の判断により、開示されることもあります。

審判事件 原則:許可(家事手続法47条3項)

昔(家事審判法)は裁判所の裁量だったようですが、今は、当事者が申請した場合には、特別な場合を除き、許可しなければならないことになりました。例外は家事手続法47条4項・7項の場合です。
・事件関係人である未成年者の利益を害するおそれがあるとき。
・当事者・第三者の私生活や業務の平穏を害するおそれがあるとき。
・当事者・第三者の私生活について重大な秘密が明らかにされることにより、 社会生活を営むのに著しい支障を生じたり、名誉を著しく害するおそれがあるとき。
・記録の保存・裁判所の執務支障があるとき。

調停事件 原則:裁判所の裁量(家事手続法254条)

ただし、調停が不成立となり、審判手続きに移行された後はそのまま審判記録となるため、原則許可になります。

謄写方法について

【その1 事件係属中の場合(セルフコピー)】

1 担当部へ事前に謄写したい旨を連絡し、スケジュール調整します。

許可が必要なため、調停期日が入っていたりして、担当書記官・裁判官が不在だと、すぐに閲覧謄写ができません。 二度手間にならないように注意が必要です。

2 家事事件記録等閲覧・謄写票を用意します。

www.courts.go.jp

東京家裁のHPに書式掲載されているので、事前に記入してから行くとスムーズです。もちろん窓口に用紙があるので、その場で記入することもできますが、他に閲覧・謄写手続き中の人がいると待たされます。
民事事件や刑事事件の謄写票はA4用紙の上の部分に附票?がついており、そちらも記入する必要がありますが、家事事件はその部分を使用してないようなので、プリントアウトしたもので問題なさそうです。

◇記入する箇所◇
・申請年月日
・事件番号
・当事者
・閲覧目的
閲覧等の部分 ここが重要です。許可を求めるわけなので、N月N日の期日調書等なるべく具体的に特定する必要があります。どうしてもわからないときは、「上記事件の期日調書すべて」と書くしかないですね。書記官によっては、聞けば教えてくれるかも?
また「(別紙)閲覧等の部分」の書面を添付する場合、ここは「別紙のとおり」と記入します。
・担当部係
・申請区分 謄写にマルをつけます
・資格 代理人にマルをつけ、「相手方~」など必要に応じて補記します
・弁護士会 住所を書く必要はありません
・氏名 弁護士名を記入します
・押印
3 職印をもって担当部の書記官へ申請に行きます。※委任状は不要です

記載事項の修正を求められることがあるので、職印は必ず持っていきましょう。
また刑事記録の閲覧・謄写の際は「担当弁護士から事務員への委任状」が必須ですが、家事事件の当事者の代理人弁護士の使者としてコピーに行く場合、委任状は必要ありません。そのため、謄写票の「閲覧謄写人氏名」や「提出書類」を書く必要はありません。(むしろ書くと消してくださいと言われ、訂正印も求められます。)

4 許可がもらえた部分の記録を謄写するため、書記官同伴で9階の記録謄写室へ移動します。

コピー量が多いとずっと待たせてしまうのでとても気まずいです。焦らないように心の準備をしてから行きましょう。

5 記録を渡されるので、謄写票の受領印欄に押印し、コピーします。

コピー機は2台ですが、さほど混んでる印象はないです。事前に1000円札または小銭を用意しておきましょう。 なお、クリアファイルから書類を外すのはNGです。留め具を少々ゆるめるのは問題ありません。

6 コピーが終わったら書記官へ返却し終了です。

【その2 後見事件の場合】

弁護士が後見人に選任されると、1か月以内に初回報告をしなければならないので、まずは申立書類一式の謄写をすると思います。推薦で選任されるときは書記官から弁護士へ打診の電話が入り、日程調整のうえ弁護士は裁判所へ記録の閲覧にいくので、その際司法協会へ謄写依頼してくれているかもしれません。
なお後見記録の謄写の申請は審判確定前でも受け付けてもらえます。

1 弁護士は担当部である家裁2階の後見センターで記録の閲覧に来た旨伝えます。
2 その場で謄写票を記入し提出して、司法協会へ謄写依頼する旨を伝えます。

「謄写部分:上記事件の記録全部」

3 移動して家裁8階の司法協会で、弁護士から司法協会への委任状と複写伝票を記入し、提出します。
4 記録の謄写が出来たら、司法協会から事務所へ電話がかかってきます。その際かかった費用を教えてもらいます。
5 なるべくおつりが出ないように費用を用意し、控え伝票をもって家裁9階の記録謄写室奥の司法協会家裁出張所へ受け取りにいきます。

ちなみに伝票を忘れてしまっても受け取りできます。職印は必要ありません。
なお、郵送対応もしてくれるようです。

裁判記録の謄写委任状について | 記録謄写(複写) | 一般財団法人 司法協会

たかが謄写、されど謄写。事件ごと手続きの仕方も違いますし、東京は司法協会の窓口もそれぞれ別の場所にあるので、無駄なく速やかに仕事を終わらせたいですね。
刑事記録と民事記録の謄写方法はまたべつの機会に。
では、また。